昨日は銚子で開催された黒潮よさこいに参加した。
銚子は抜けるような青い空で、絶好のお祭り日和であった。
舞ちはらは、昨年の大賞受賞以来、今年の黒潮では決して恥ずかしい踊りはできないと思って必死に練習してきた。しかし、いろいろなイベントで他のチームの演舞を見るたびに、焦りを感じて自分達の演舞に自信を失いかけることも多々あった。どれだけ練習しても何かが足りないような、そんな不安を抱えての銚子入りだった。
一次審査
開会式を終えて最初の演舞は、パレード2連チャン銀座通りだった。ここはファイナルに進出したときの会場にもなる予定だったので、気を抜くことはできない。十分にコースの下見をして、道路の目印を確認して踊った。PAの性能が良すぎてMCの声はよく聞こえるのだが、音楽にかき消されて、踊り子の声がなかなか聞こえない。ただ、フォーメーションはきっちりと崩さず踊ることができた。
そしてあまり間を置かず、飯沼観音ステージでの一次審査演舞。練習通りにやればいいんだと自分に言い聞かせても、緊張してくる。全員で円陣を組み声をかける。さあ、いくぞ!
ステージは通常よりかなり狭く、MCの僕の立ち位置もほとんどなかった。舞台のへりの縁にマイクの台をどけて立つ。そうしないと踊り子の移動するスペースが確保できないからだ。緩やかにMCをスタート。言葉をハッキリとゆっくりとと自分に言い聞かせながら。
曲がスタート。演舞が始まる。踊り子の横顔が目の端に飛び込んでくる。いい表情してる。いいぞ。僕らは力の限り、叫び、跳ね、腕を振り上げ、歌った。
僕は声を出しすぎたせいか、曲の途中で腹筋がつりそうに痛み出した。どうしよう。不安でいっぱいになったが、気になんぞしてられるか!絞り出すように最後まで叫び演舞を終えた。
舞台を降りた僕らはもう抜け殻のようで、しばらく放心状態。給水をがぶがぶ飲んで何も考えられなかった。でも、すぐ横でふるまわれた、黒潮名物のつみれ汁をいただいてやっと落ち着くことができた。やれることはすべてやったんだ。後は結果を待つだけだ。
そこで、一つの緊急事態発生。旗士のひとりの奥さんから破水し生まれそうだとの連絡がはいった。予定では2週間後だったのだが早くやってきたのだ。あわてて帰路につく旗士。間に合ってくれればいいが。この後は旗士が1名減で演舞しなくてはならない。
その後1カ所本通り会場でパレードを踊りしばしの休憩。観音様の裏手の今川焼きやさんで糖分を補給。そしていよいよファイナル進出の発表時間となった。
ファイナルパレード演舞
旗士の演舞が終わった後だったので、見に行ったメンバーもいて、ばらばらだった。数名が僕の周りにいたが、その瞬間はあっさりとやってくる。
「予選通過第1位 YOSAKOI舞ちはら!」
喜びと安堵がいっしょにやってきて、僕はメンバーと抱き合って喜んだ。
その後、ファイナル演舞順を決める抽選会が行われた。遅く踊る方が当然準備する時間もできていいのだが、僕は昨年に引き続きオーラスの6番手の順番を引き当てた。が、メンバーはみんなすでにストレッチするため移動していて、だれも見ていない。なんだよ〜。(笑)僕は準備しているメンバーのところに行き「6番だぞ〜。持ってるだろ、オレ。」と自慢するも、失笑を買っただけ。(笑)
ファイナルはパレード演舞で審査が行われる。僕らは最後のフォーメーションと振り付け、立ち位置の確認を側道で行った。時間が来て僕だけMC台へ移動。ゴール地点は黒山の人だかりだった。他のチームの演舞を見るともなく見る。素晴らしい。またしても不安がふつふつと胸に膨らむ。
前のチームの演舞が終わり、いよいよ僕らの順番になる。僕はMCの中で少しだけ、先月亡くなったたかさんのことに触れた。今日、舞ちはらは彼女のために全員喪章をつけていた。さよならする命との縁と、入れ替わるかのように生まれようとしている新しい命との縁。よさこいを通じてご縁がつながっていくように感じられた。今年のテーマをこんな風に深く感じたのは初めてだった。
シンと静まった会場に舞ちはらの演舞曲のイントロが流れ出す。僕らはもう余計なことは考えてなかった。今はこの会場に集まってくれたお客様との「縁」を大切に、僕らの演舞や思いを感じて楽しんでもらおうという想いで踊った。手拍子してくれるおばあちゃん、小さな子供達、腕組みしながら見ているおじさん。みんな本当にありがとう。
あっという間の4分17秒だった。
必死だったといえば必死だった。でも、楽しかった。
結果発表
夕闇も迫り、会場がライトアップされた中でいよいよ結果発表の時がやってきた。ファイナルに出場した全踊り子がステージに上がりそのときを待った。発表の仕方は3位から順に、2位、1位とそのチームの演舞曲が流れることで発表される。
まずは、第3位 黒潮美遊 潮っ子組さん。第2位 チーム☆利ゑ蔵さん、と曲が流れた、後は大賞(1位)か4位以下かだ。僕はもう目を閉じてうつむいて祈った。
「それでは、第10回黒潮よさこい祭り 大賞はこの演舞曲のチームです!」
スピーカーから聞き慣れたピアノのソロが流れ出した!やった!やった!大賞だ。僕はキッズ達と思わず抱き合った。目頭が熱くなる。大賞をとったんだ。黒潮よさこい史上初の2年連続だ。
ついに、「縁」で頂点に立つことができた。この曲を初めて披露した頃は、昨年との印象の違いにメンバーさえも戸惑った。親しい方からも「昨年の方がよかったんじゃない?」という意見も何度も聞いた。正直に僕も今年の曲は失敗だったんじゃないかと、何度も落ち込んだこともあった。でも、そんな弱音はメンバーには言えなかった。
しかし、苦しみながらも、いろいろ振り付けやフォーメーションを変更したり、MCも改良しながら、この曲を踊り続けて行くうちに今年のテーマの世界観が、徐々に完成してきた。それがこの黒潮よさこいで結実したのだ。
カクテル光線の中で踊った大賞演舞はほんとに楽しかった。ただ、メンバーの一人が軽く足をひねってしまい。ちょっと心配。
次は木更津だ!
もとまっく様
本当に大賞おめでとうございます。
ファイナル演舞は後方から見ていましたが目頭が熱くなりました。
感動しました。